ハリアーの盗難率が気になって検索された方は、おそらく「なぜハリアーが狙われやすいのか」「どんな対策が有効なのか」を知りたいのではないでしょうか。実際、ハリアーは盗難ランキングでも上位の常連であり、多くの盗難事例が報告されています。特に60系ハリアーは盗難率が高く、近年ではCANインベーダーなどの高度な手口によって被害が急増しています。
また、ハリアーの盗難が多い地域や時間帯にも傾向があり、地理的要因や駐車環境も被害リスクに大きく関係しています。純正の盗難防止機能が搭載されていても、それだけでは万全とは言えません。80系ハリアーであっても、追加の盗難防止装備が求められています。
本記事では、ハリアーの盗難率の現状から、保険補償や等級への影響、価格帯別で実践できる防犯対策まで、総合的にわかりやすく解説していきます。ハリアーオーナーの方が被害に遭わないためにも、今すぐできる対策を知っておきましょう。
この記事のポイント
- ハリアーの盗難率が高い背景と要因
- 狙われやすいモデルや地域の特徴
- 保険補償と等級への具体的な影響
- 効果的な盗難防止対策と装備の選び方
ハリアーの盗難率はなぜ高いのか?
- ハリアーの盗難ランキングで常に上位
- 盗難事例から見る急増の背景
- 盗難の多い地域の傾向と理由
- 60系ハリアーの盗難率が高い理由とは
- 盗難防止のための純正装備の限界
ハリアーの盗難ランキングで常に上位
ハリアーは、自動車盗難ランキングで常に上位に位置する車種です。
これは単なる偶然ではなく、国内外での人気やリセールバリューの高さが大きく関係しています。
多くの窃盗団にとって、盗んだ車をいかに高値で売れるかが重要です。ハリアーは高級感のある内外装や信頼性のある性能から、日本国内だけでなく東南アジアやアフリカなどの海外市場でも需要があります。このため、中古車としても高く売れるハリアーは、組織的な窃盗のターゲットとなりやすいのです。
例えば、日本損害保険協会が発表したデータでは、ハリアーは2020年に10位、2021年には9位と年々順位を上げており、2024年も再び上位にランクインしています。これはランドクルーザーやアルファードといった他の高級トヨタ車と並ぶ存在といえます。
一方で、ランキングの上位車種はトヨタ車が多数を占めており、ブランドそのものが狙われやすいという側面も見逃せません。特にSUVやハイブリッド車はパーツの転売でも利益が出しやすく、車両まるごとの密輸だけでなく分解して輸出されるケースもあります。
このように、ハリアーは「人気車ゆえに盗まれる」というジレンマを抱えており、ランキング上位であること自体がリスクの証といえるでしょう。
盗難事例から見る急増の背景
ハリアーの盗難事例が急増している背景には、複数の要因が絡み合っています。
単にセキュリティが甘いからではなく、技術的進化と犯罪組織の動きが深く関係しています。
まず、最近の盗難は単純な窓割りやドアこじ開けではなく、「リレーアタック」や「CANインベーダー」といった電子的な手法が主流になりつつあります。こうした手口は、スマートキーが発する電波を利用してドアを開けたり、車両の制御システムを不正操作したりするものです。これにより、警報も鳴らさずわずか数分で車を持ち去ることが可能になります。
実際に茨城県警などが発表している事例では、2014年〜2016年式の先代ハリアー(60系)が複数盗難被害に遭っています。これは、これらのモデルがセキュリティ強化前の設計であり、窃盗団にとって狙いやすいことが一因です。
また、地理的な要因も見逃せません。茨城県や千葉県など、港に近い地域では盗難車をコンテナに積んで短時間で海外に輸出できるため、盗難が集中する傾向があります。このようなエリアでは、特定の車種が集中的に狙われやすいのです。
さらに、中古車市場の需要拡大も盗難増加に拍車をかけています。海外での需要が高い車種は、盗難後すぐに輸出され再販されるため、見つかる可能性が低く、窃盗団にとってリスクの少ない犯罪とされています。
このような背景が重なり、ハリアーの盗難事例は年々増加しているのです。対策を講じなければ、さらに被害が拡大する恐れがあります。
盗難の多い地域の傾向と理由
ハリアーの盗難が多く発生している地域には、いくつかの明確な傾向があります。
特に、茨城県・千葉県・愛知県など、港湾施設があるエリアでは被害が集中しています。
このような地域が狙われる背景には、盗難後の「輸出のしやすさ」があります。盗まれた車はすぐにヤード(車両保管場所)に持ち込まれ、ナンバープレートの偽装を経て、短時間でコンテナに積まれ港へと運ばれていきます。この一連の流れがスムーズに行える地理的条件を持っているのが、先述の県です。
さらに、都心部よりも監視が手薄な郊外エリアも危険です。特に青空駐車場や監視カメラが設置されていない場所は、犯行に及ぶ際のリスクが低いため、窃盗団が好んで活動する傾向にあります。加えて、深夜〜早朝の時間帯に集中しているという時間的傾向も見逃せません。
例えば、2022年の自動車盗難件数では、愛知県がトップ、次いで大阪府、千葉県、埼玉県、茨城県と続いています。これらの地域は、いずれも高速道路網が発達しており、盗難車を迅速に移動させやすいという特徴も共通しています。
このように、ハリアーの盗難多発地域には「地理」「環境」「時間帯」という3つのリスク要因が重なっていることがわかります。
60系ハリアーの盗難率が高い理由とは
60系ハリアー(2013〜2020年モデル)は、盗難率が特に高い型式として知られています。
その理由は、海外での人気とセキュリティ性能のバランスにあります。
まず、60系はラグジュアリーなデザインと高い走行性能が評価されており、アフリカや東南アジアでは特に中古車需要が高まっています。車両ごと輸出されることもあれば、解体されて部品として販売されることもあります。これにより、1台あたりの換金価値が非常に高く、窃盗団にとっては「利益率の高い車種」となっているのです。
一方で、初期の60系モデルは、近年のハリアーや高級車に比べるとセキュリティ機能がやや弱く、リレーアタックやCANインベーダーといった盗難手口に対する防御力が不足しています。とくに2014年~2016年式は、後期型に比べてセキュリティアップデートも少ないため、狙われるケースが目立ちます。
例えば、茨城県で発生した一連のハリアー盗難事例の多くも、60系がターゲットとなっていました。このような事例からも、特定の型式・年式に狙いが集中していることが見て取れます。
もちろん、後付けでの対策も可能ですが、車両購入時に特に盗難対策を意識していないオーナーが多いことも問題です。これが結果的に60系の盗難率をさらに引き上げる要因になっています。
盗難防止のための純正装備の限界
ハリアーには、盗難防止のための純正セキュリティ装備が搭載されていますが、それだけでは万全とは言えません。
現代の自動車盗難は、こうした標準装備を想定した上で行われる巧妙な犯行が増えており、純正機能だけでは突破される可能性があります。
ハリアーの純正セキュリティには、イモビライザー(電子キー認証によるエンジン始動制御)やスマートキー連動の警報システムが含まれます。これらは基本的な防犯性能を持ち、無施錠や不正開錠にはある程度の効果があります。
しかし、最近では「リレーアタック」や「CANインベーダー」といった手口によって、スマートキーの電波を不正に中継されたり、車体内部の配線から直接システムをハッキングされたりする事例が急増しています。これらの手法は、純正セキュリティの仕組みそのものを無効化してしまうため、目に見える異常もなく車両が盗まれてしまうのが特徴です。
例えば、車両のバンパー付近に小さな穴を開けてCAN通信ラインにアクセスされると、車は通常通りの操作でロックが解除され、エンジンまで始動されてしまいます。このとき、アラームが作動しないケースも多く、周囲に気付かれずに持ち去られる危険があります。
こうした背景から、多くのセキュリティ専門業者や警察では、純正装備に加えて物理的な対策や追加の電子防犯装置の導入を推奨しています。ハンドルロックやタイヤロックのような「目に見える防犯器具」は、犯行をためらわせる心理的効果も高く、システムと併用することで防犯レベルを大きく引き上げることができます。
つまり、純正装備はあくまで「基本レベルの防犯」であり、それだけでは現代の高度な盗難手口に対応しきれないことを理解しておく必要があります。盗まれにくい車にするには、複数の対策を組み合わせる「多層防御」が欠かせません。
ハリアーの盗難率を下げるための実践対策
- 盗難による保険の等級への影響とは?
- 盗難に対する保険の補償で確認すべき点
- 80系ハリアーの盗難防止に有効な装備とは
- CANインベーダー対策の基本
盗難による保険の等級への影響とは?
ハリアーが盗難された場合、自動車保険の等級にどのような影響があるのか気になる方も多いでしょう。
盗難事故は「車両保険を使用した事故」として扱われるため、翌年の等級は確実に下がります。
自動車保険では、保険を使うと翌年の等級が通常3等級ダウンし、「事故あり」の割増料率が適用されます。これは盗難による請求であっても例外ではありません。たとえ自分に過失がなくても、補償を受ける限り、保険料の増加は避けられない仕組みです。
例えば、現在20等級だった場合は、翌年には17等級に下がり、割引率も大幅に減少します。保険料に換算すると、年間で数万円の負担増になることも珍しくありません。さらに、事故あり等級の影響は1年では終わらず、数年間にわたり保険料が割高になるケースが一般的です。
このような背景から、高額な車両を所有している方ほど「盗まれない対策をする」ことが経済的にも大きな意味を持ちます。盗難補償があるから安心と思わず、保険の使用後に発生する長期的な負担も視野に入れておくことが大切です。
盗難に対する保険の補償で確認すべき点
ハリアーの盗難に備えるには、保険契約時に補償内容をしっかり確認することが欠かせません。
中でも「どのタイプの車両保険に入っているか」が、補償の有無を分ける大きなポイントです。
まず注意したいのが、車両保険には「一般条件」と「限定条件(車対車+Aなど)」の2種類があるという点です。ハリアーの盗難に対しては、原則として「一般条件」の車両保険に加入していないと補償されません。一方で、限定条件の保険では、盗難は補償対象外となっている場合も多く、契約内容によっては全く補償されないリスクがあります。
また、補償額にも注意が必要です。盗難に遭った際に支払われる金額は、契約時に設定された「車両保険の保険金額」までとなっており、車の時価を上限とします。新車購入時と比べて市場価格が下がっている場合、全額戻ってくるわけではない点は理解しておくべきです。
さらに、鍵の管理状況も問われます。スペアキーの提示ができない場合や、自宅敷地外での無施錠と判断される状況では、補償が一部減額されるケースもあります。
こうした細かな条件を把握していないと、いざというときに「思ったよりも補償されない」という事態になりかねません。契約内容を確認する際は、補償の対象範囲・免責金額・必要書類の有無をあらかじめチェックしておきましょう。
80系ハリアーの盗難防止に有効な装備とは
ハリアー80系の盗難を防ぐには、純正機能だけに頼らず、追加の防犯装備を活用することが非常に効果的です。
特に、電子的対策と物理的対策を組み合わせることで、盗難リスクを大幅に下げることができます。
まず、物理的な防犯装備としては「ハンドルロック」や「タイヤロック」が挙げられます。これらは車の操作そのものを妨げるため、エンジンをかけられても持ち去られることを防げます。また、視覚的にも「この車は面倒だ」と感じさせる効果があり、窃盗犯に狙われにくくなります。
次に、電子的な装備として注目されているのが「IGLA(イグラ)」や「SOS820」といった車両制御型のセキュリティ装置です。これらは車内に専用のPINコードを入力しない限り、エンジンの始動ができなくなる仕組みです。CAN通信をハッキングするような手口にも強く、盗難防止として非常に優れています。
また、GPS追跡装置の設置もおすすめです。万が一盗まれても、車の現在地を追跡できるため、発見や回収の可能性を高めてくれます。最近ではスマホと連動した安価なモデルも登場しており、手軽に導入できるのも魅力です。
このように、ハリアー80系に対する有効な盗難防止装備は多数ありますが、重要なのは「一つではなく複数を組み合わせる」ことです。犯行に時間がかかればかかるほど、窃盗犯はその車を諦めやすくなるため、多層的な防御がもっとも効果的だといえるでしょう。
CANインベーダー対策の基本
CANインベーダーとは、車両内部の通信ネットワーク「CAN(Controller Area Network)」を不正に操作し、ドアロックの解除やエンジン始動を可能にする盗難手口です。
この攻撃は、外から車の電子システムに直接アクセスすることで成立するため、従来の盗難防止策では防ぎきれないことがあります。
このような高度な攻撃への基本的な対策としては、まず「OBDガード」の取り付けが有効です。OBD(車両診断ポート)は、整備時などに使われる接続端子ですが、ここからCANにアクセスされる危険性があります。OBDガードを装着して物理的に封鎖することで、外部機器の接続を遮断できます。
次に注目されているのが「CANインベーダー対応セキュリティシステム」の導入です。IGLAやSOS820といったシステムは、車両が正規の信号を受信しない限り始動できないため、不正な通信が発生した際には即座にエンジン始動をブロックします。
さらに、防犯カメラやセンサーライトを駐車場に設置することも効果的です。CANインベーダーによる盗難は、車体の一部に工具を使って穴を開けるなど、目立つ動作が伴うため、人目に付きやすい環境に置くことで犯行の抑止になります。
なお、CAN対策は一度導入すれば終わりというわけではありません。窃盗手口は常に進化しているため、セキュリティ装置のアップデートや新たな対策の継続が求められます。こうした意識を持つことが、結果的に盗難リスクを最小限に抑えることにつながります。
ハリアーの盗難率が高い理由とその実態まとめ
- ハリアーは国内外での人気が高くリセールバリューが高い
- 窃盗団にとって利益率の高い車種である
- 自動車盗難ランキングで常に上位に位置している
- 60系ハリアーはセキュリティが甘く狙われやすい
- 2014〜2016年式のハリアーが特に盗難被害を受けている
- 茨城県や千葉県など港に近い地域で盗難が多発している
- 高速道路網が発達した地域は盗難後の移動がしやすい
- 犯行は深夜〜早朝の時間帯に集中する傾向がある
- リレーアタックやCANインベーダーなど電子的手口が主流
- ハリアーの純正セキュリティ装備では対処しきれない
- 盗難補償を受けても保険等級が下がり保険料が上がる
- 一般条件の車両保険でなければ盗難は補償対象外となる
- OBDポート経由の攻撃に対してはガード装着が有効
- IGLAやSOS820などの後付け装置で防犯性を高められる
- 複数の対策を重ねる「多層防御」がもっとも効果的