広告 国産車

CX-60のミッション異音の原因と対策を徹底解説!

CX-60のミッション異音の原因と対策を徹底解説!

マツダCX-60の購入を検討している、あるいは既に乗られている方の中には、ミッションの異音について情報を探している方も多いのではないでしょうか。鳴り響く特徴的な音は、オーナーや購入検討者の間で大きな関心事となっています。この記事では、報告されているミッションの異音の種類や具体的な症状、特に発進時や低速走行時に聞こえる音の発生原因について、技術的な側面から深く掘り下げていきます。また、減速時の変速ショックと異音の関連性や、そもそも新開発の8速ATはなぜ異音がするのかという構造的な問題にも焦点を当てます。

さらに、ディーラーの対応や実際の修理実例、気になる費用についても解説し、ミッション異音に関するリコールやサービスキャンペーン情報、ソフトウェアアップデートで乗り心地は改善するのか、ATF交換は対策として有効なのか、といった具体的な疑問にもお答えします。この異音が初期ロット特有の問題なのかという生産時期による違い、SNSの口コミで語られるCX-60オーナーのリアルな声もご紹介します。これから中古のCX-60購入を検討している方のために、ミッション異音を見抜くチェックポイントや、もし異音を放置した場合のリスクと正しい対処法まで、網羅的に情報をまとめました。

この記事のポイント

  1. CX-60で報告されるミッション異音の具体的な種類と原因
  2. リコールやアップデートなどメーカー公式の対策とその効果
  3. 中古車購入時に失敗しないための異音チェック方法
  4. 異音が発生した際のディーラーでの対応と修理の実例

CX-60のミッションの異音の症状と原因

  • ミッション異音の種類と具体的な症状
  • 発進・低速走行時の異音と発生原因
  • 減速時の変速ショックと異音の関連性
  • 8速ATはなぜ異音がする?構造的問題
  • 異音は初期ロット特有?生産時期の違い
  • SNS口コミに見るCX-60オーナーのリアルな声

ミッション異音の種類と具体的な症状

ミッション異音の種類と具体的な症状

 

マツダCX-60で報告されているミッション周りの異音は、特定の走行状況下で発生するいくつかの特徴的なパターンに分類できます。オーナーからの報告で特に多いのが、「ザー」「ガー」といった、まるで金属同士が擦れているかのような乾いた摩擦音です。これは主に、低速で走行中にアクセルペダルを離した際や、発進直後のエンジン回転数が低い領域で聞こえることが多いとされています。この音は、乗り始めの頃は小さくても、走行距離を重ねるにつれて徐々に大きくなる傾向があるという指摘もあります。

また、信号待ちなどで減速し、停止する直前のタイミングで、車体下部から「ガサゴソ」「ゴゴゴ」といった、複数の部品が擦れ合いながら動くような音がするという声も少なくありません。この音は、トランスミッション内部でクラッチやギアが断続的に噛み合ったり離れたりする際の作動音と考えられており、特にマイルドハイブリッドモデルでエンジンが停止する際に顕著に感じられることがあります。

さらに、停車状態からアクセルを踏み込んで発進する瞬間には、「ドン」「コトン」「ガッコン」といった、ギアやクラッチが締結される際の衝撃音や打音がフロント部分から聞こえるという事例も多数報告されています。これらの音は、ドライバーにとって単なる「メカニカルな作動音」として許容できる範囲を超え、時に「何かが壊れているのではないか」と不安を感じさせる「異常な音」として認識されることがあります。

報告されている主な異音のまとめ

CX-60の異音は、走行シーンによって様々な種類が報告されています。ご自身の車の症状と照らし合わせてみてください。

  • 「ザー」「ガー」音:低速走行時のアクセルオフ時や発進直後。金属的な摩擦音が特徴。
  • 「ガサゴソ」「ゴゴゴ」音:減速停止の直前。部品が擦れ合うような複雑な音。
  • 「ドン」「コトン」「ガッコン」音:停車時からの発進時。ギアが入る際の衝撃音や打音。

これらの症状は常に一定の音量で発生するわけではなく、エンジンの冷間時や十分に暖まった後、あるいは特定のギア(特に1速から3速の低速ギア)でのみ顕著になるなど、個々の車両や運転状況によって発生条件が異なるのも、この問題の複雑な特徴の一つです。

発進・低速走行時の異音と発生原因

CX-60の発進時や時速20km以下の低速走行時に発生する異音やギクシャク感は、この車が搭載する新開発のトルコンレス8速ATの構造に主な原因があります。

一般的なオートマチック車(AT)は、「トルクコンバーター(トルコン)」という、オイルを満たしたドーナツ状の装置を介して動力を伝達します。このオイルが緩衝材の役割を果たすことで、発進時のスムーズさや変速時の滑らかさを生み出しています。しかし、CX-60の8速ATは、伝達効率とダイレクトな操作感を優先し、あえてこのトルコンを廃止しました。代わりに採用されたのが、電子制御の「湿式多板クラッチ」です。これは、マニュアル車のようにエンジンとトランスミッションを機械的に直接つなぐことで、アクセル操作に対するリニアな応答性や、エネルギーロスの少ない優れた燃費効率を追求するための先進的な設計です。

しかし、この構造はメリットばかりではありません。特に発進や極低速域でクラッチを繋いだり切ったりする「半クラッチ」の制御が、トルコンに比べて格段に難しく、シビアになります。発売当初のモデルでは、この半クラッチ制御のプログラムが十分に熟成されておらず、クラッチが繋がる瞬間に「ガッコン」という衝撃音が発生したり、渋滞中のノロノロ運転で前後に揺すられるような不快なギクシャクした動き(一部では「ロデオ状態」とも表現されるノッキング現象)として現れてしまいました。言ってしまえば、これは機械的な故障というよりは、革新的な機構であるがゆえの「制御のクセ」や「仕様」に近い側面が強い現象です。

トルコンレスATの特性

CX-60のATは、マニュアル車のようなダイレクト感と高い燃費性能と引き換えに、低速域での滑らかさに課題を抱えることがあります。これは、特にストップ&ゴーが多く、繊細なアクセルワークが求められる日本の交通環境では、ドライバーが違和感を覚えやすいポイントと言えるでしょう。

もちろん、メーカーもこの問題を最重要課題の一つとして認識しており、後の度重なるソフトウェアアップデートによって制御は大幅に改善されています。しかし、トルコンという物理的な緩衝材を持たない以上、構造的な特性が完全になくなるわけではない点には注意が必要です。

減速時の変速ショックと異音の関連性

減速時の変速ショックと異音の関連性

減速時に発生する変速ショックや「ゴゴゴ」といった異音も、前述のトルコンレス8速ATの特性と深く関連しています。通常のトルコン付きATであれば、減速時にはトルコン内部の流体が緩衝材の役割を果たし、シフトダウンに伴うエンジン回転数の変動や衝撃を巧みに吸収してくれます。これにより、乗員はスムーズで快適な減速フィールを体感できます。

しかし、CX-60はエンジンとトランスミッションがダイレクトに繋がっているため、シフトダウン時の衝撃やエンジンブレーキの効き具合が、より明確に車体に伝わりやすい傾向があります。

特に、3速から2速、2速から1速といった低いギアに変速する際に「ゴゴゴ」という音と共に軽いショックを感じることがあります。これは、トランスミッション内部のクラッチが断続を繰り返す際の作動音や、エンジンブレーキがかかる際の振動が複合的に発生しているものと考えられています。ディーラーなどでは「半クラッチ音」や、構造上やむを得ない作動音として説明されることもあるようです。

このギクシャク感は、まるでマニュアル車でシフトダウンをしてエンジンブレーキをかけた時のような、ダイレクトでスポーティな感覚に近いかもしれません。走りを重視する方には「機械を操作している実感」として好意的に受け取られる可能性もありますが、高級SUVに静粛性や快適性を求める同乗者にとっては、不快な揺れと感じられてしまう場合もあるでしょう。

また、マイルドハイブリッドモデル(XD-HYBRID)では、この現象がより複雑になります。減速時には燃費向上のため積極的にエンジンが停止し、モーター走行(EV走行)に切り替わる制御が入ります。このエンジン停止・再始動のタイミングと、トランスミッションの変速が常に完璧に同調するとは限らず、制御プログラムが追いつかずに予期せぬショックや音を発生させる一因にもなっていたようです。これらの現象も、後のソフトウェアアップデートで協調制御が大幅に見直され、大きく改善されています。

8速ATはなぜ異音がする?構造的問題

8速ATはなぜ異音がする?構造的問題

ここで改めて、CX-60の8速ATがなぜ異音を発生させやすいのか、その構造的な特徴と背景を整理します。このトランスミッションの最大の特徴は、繰り返しになりますが、自動車のATとしては一般的な「トルクコンバーターを搭載していない」という、非常に挑戦的な設計思想にあります。

本来、トルクコンバーターが担っていた「滑らかな発進」と「変速ショックの吸収」という、乗り心地を左右する2つの大きな役割を、CX-60では電子制御の湿式多板クラッチが一つで担っています。この設計は、マツダが長年追求してきた「人馬一体」のダイレクトな走行フィールと、エンジンの力を無駄なくタイヤに伝える高い伝達効率(燃費向上)を両立するために採用されました。マツダの技術解説ページでも、このダイレクト感へのこだわりが述べられています。

トルコンレスATのメリットとデメリット

  • メリット:アクセル操作に対する遅れが少なく、マニュアル車のようなリニアでダイレクトな加速感が得られる。また、動力の伝達ロスが少ないため、燃費性能の向上に貢献する。
  • デメリット:発進時や低速域でのクラッチ制御が極めて難しく、制御プログラムの熟成が不十分だとギクシャク感や作動音が出やすい。乗り心地の快適性とスポーティさの両立に高度な技術が求められる。

もちろん、BMWやメルセデス・ベンツなど、欧州のプレミアムブランドにもトルコンレスのAT(DCTなど)は存在します。しかし、それらの多くは長年の開発の歴史の中で比較的スムーズな動作を実現しており、CX-60で報告された顕著な異音やギクシャク感は、マツダ独自の制御ロジックや、組み合わせるクラッチ部品などの設計に起因する「熟成不足」が大きな原因であったと考えられます。言ってしまえば、誰もやっていない領域に果敢に挑戦したがゆえの、避けられない産みの苦しみだったのかもしれません。

このため、報告されている異音の多くは、部品が破損しているといった機械的な不具合や故障というよりも、構造上発生しやすい作動音が、プレミアムSUVとして期待される高い静粛性を持つ車内では、かえって「不快な異音」として乗員に認識されやすい、というのが実情に近いでしょう。

異音は初期ロット特有?生産時期による違い

異音は初期ロット特有?生産時期による違い

結論から言うと、CX-60のミッション異音や乗り心地に関する不具合の多くは、生産開始(2022年9月)から約1年間の、いわゆる「初期ロット」と呼ばれる車両に集中している傾向があります。

CX-60は、マツダにとって全く新しい後輪駆動(FR)ベースのラージ商品群プラットフォーム、国内メーカーとしては久々となる新開発の直列6気筒エンジン、そして問題となっている新設計の8速ATと、まさに「初物づくし」のモデルでした。このようなブランニューモデルの生産初期には、生産ラインの作業員の習熟度や、サプライヤーから納入される各部品の品質が安定しにくく、どうしても細かなトラブルが発生しやすいものです。

マツダもユーザーからの多くのフィードバックを受けて、生産ラインと並行して継続的に改善を行っています。大きく分けると、改善は目に見えない「ソフトウェア」と、物理的な部品である「ハードウェア」の両面から精力的に進められています。

生産時期による主な改善点の違い
生産時期の目安 主な改善内容 備考・特徴
~2023年8月頃
(初期ロット)
ソフトウェアアップデートが中心。
複数回のリプロ(再プログラミング)を実施し、変速制御を段階的に最適化。
ギクシャク感は改善されるものの、乗り心地の物理的な硬さや、サスペンションからの突き上げ感といった課題は残る傾向にありました。
2023年9月以降
(商品改良後モデル)
ハードウェアの物理的な改良。
リアサスペンションのダンパーやスプリングのセッティングを見直し、突き上げ感を大幅に緩和。
内装部品の材質や固定方法を一部変更し、きしみ音を対策。
乗り心地が「しなやか」と評されるほど大幅に改善。
ソフトウェアも当然ながら最新のものが適用済みです。この時期以降のモデルが一般的に評価が高いです。

このように、特に乗り心地の快適性という面では2023年9月以降に生産された商品改良モデルで物理的な対策が施されており、初期モデルとは明確な差があります。中古車を検討する際には、この生産時期が価格以上に重要な判断基準となることは間違いありません。

SNS口コミに見るCX-60オーナーのリアルな声

SNS口コミに見るCX-60オーナーのリアルな声

CX-60のミッション異音について、自動車専門SNS「みんカラ」や「価格.com」、X(旧Twitter)などでは、オーナーからの様々な生々しい声が投稿されており、その評価は賛否両論、大きく分かれています。ここでは、いくつかの代表的な意見を紹介し、多角的な視点からこの問題を考察します。

否定的な意見・不満の声

最も多く見られるのは、やはり低速時のギクシャク感や耳障りな異音に対する厳しい不満です。 「毎日乗る通勤時の渋滞路で、カックンカックンと揺すられるのは本当にストレスでしかない」 「500万円以上もする新車で買ったのに、停車するたびに下からガサゴソと音がするのは品質を疑う」 「ディーラーに何度も相談しても『仕様です』の一点張りで、真摯に対応してもらえなかった」 といった、怒りや失望の声が数多く見られます。中には、度重なる不具合やディーラーとのやり取りに疲れ果て、数百万円という大きな損失を覚悟の上で、納車後わずか半年で売却したという元オーナーの悲痛な投稿も少なくありません。このような声は、CX-60の評価に大きな影響を与えているのが実情です。

肯定的な意見・改善を実感する声

一方で、CX-60の挑戦的なメカニズムを理解し、その走りを評価する声や、メーカーの改善努力を実感する肯定的な意見も多数存在します。 「納車当時は正直酷かったが、リプロを重ねるうちに全く別の車のように滑らかになった。マツダの本気を感じる」 「この巨体でこの燃費、そして直6のダイレクトな加速感は他の国産SUVでは絶対に味わえない。多少のクセはむしろ愛おしい」 「自分の2024年モデルは全く音がしない。ネットで騒がれているのが信じられないくらい快適」 といった満足度の高い意見です。特に、発売初期から乗り続け、複数回のソフトウェアアップデートを経験したオーナーからは、メーカーの真摯な改善努力を評価し、徐々に車が熟成していく過程を楽しんでいるという声も多く聞かれます。

情報の見極めが重要

SNSの情報はオーナーの率直な感想であり非常に参考になりますが、その情報の「鮮度」に注意が必要です。発売当初の2022年や2023年初頭に投稿されたネガティブなレビューが、改善が進んだ現在でもそのまま残っている場合も多いため、その書き込みが最新のアップデート適用後の評価なのかどうかを見極めることが大切です。また、音や乗り心地の感じ方には個人差が非常に大きく、全く気にならないというオーナーも実際にいるのが、この問題をより複雑にしています。


CX-60のミッションの異音への具体的な対策

  • リコールとソフトウェアアップデートでの改善
  • ディーラーの対応と修理実例、費用は?
  • ATF交換は異音対策に有効なのか
  • 中古CX-60購入時の異音チェックポイント
  • CX-60ミッション異音を放置するリスクと対処法を総括

リコールとソフトウェアアップデートでの改善

マツダは、CX-60のトランスミッションに関する様々な不具合に対し、発売以来、複数回にわたるリコールやサービスキャンペーンを実施しています。これらは、安全性に関わる重要な不具合(リコール)や、品質改善を目的とした不具合(サービスキャンペーン)について、国土交通省に届け出て行われる公式な無償修理であり、メーカーとしての責任ある対応と言えます。

対策の多くは、トランスミッション制御コンピュータ(TCM)とエンジン制御コンピュータ(ECU)の制御プログラムを、対策済みの最新バージョンに書き換える「ソフトウェアアップデート(リプログラミング)」です。これにより、ハードウェアはそのままに、クルマの頭脳を賢くすることで、以下のような点が具体的に改善されます。

  • クラッチを締結する際の油圧制御をより緻密にすることで、発進時や変速時のショックを大幅に低減
  • マイルドハイブリッドのモーターアシストとエンジン、ミッションの連携を最適化し、スムーズな駆動力のつながりを実現
  • 渋滞時など極低速域でのギクシャク感を抑制し、より自然な走行フィールへ改善

実際に、国土交通省が公表しているリコール情報によると、2023年10月にはトランスミッションの油圧学習が不適切なため「変速ショックや走行中のギクシャク感が発生するおそれがある」として、メーカー側が初めてその現象を公式に認め、大規模なサービスキャンペーンを行いました。多くのオーナーがこのアップデートによって「劇的に乗り心地が改善された」「納車時とは全く別の車になった」と高く評価しており、ソフトウェアによる改善効果は非常に大きいことが証明されています。

リコール・サービスキャンペーンは必ず受ける

お乗りのCX-60がリコールやサービスキャンペーンの対象になっていないか、マツダの公式サイトでご自身の車台番号を入力して簡単に確認できます。中古車で購入した場合でも、メーカーの改善対策は所有者情報を問わず無償で受けられます。未実施の場合は、最寄りのマツダディーラーで必ず対策を受けてください。(参照:マツダ公式サイト リコール情報)

ただし、これらのアップデートで運転フィールは大幅に向上するものの、前述の通りハードウェアの構造的な特性が起因する、ある程度の作動音などが完全にゼロになるわけではない、という点はあらかじめ理解しておく必要があります。

ディーラーの対応と修理実例、費用は?

ディーラーの対応と修理実例、費用は?

ミッション異音に関してマツダディーラーに相談した際の対応は、店舗の方針やサービス担当者の知識レベル、そして症状の深刻度や再現性によって大きく異なるのが実情であり、オーナーの間でも評価が分かれるポイントとなっています。

一般的な対応の流れ

まず、異音や症状の確認のため、サービス担当者がオーナーの運転、あるいは自ら運転して試運転を行うのが一般的です。その上で、メーカーから公式な対策情報(リコールやサービスキャンペーンなど)が出ている場合は、ソフトウェアのアップデートが提案されます。前述の通り、多くの場合、このアップデートで症状はかなり改善されるため、これが最初のステップとなります。

対応のばらつきと背景

一方で、SNSなどの口コミを見ると、残念ながら「それはこの車の仕様です」「構造上の音なので対策できません」といった、紋切り型の説明で十分な対応をしてもらえなかったというケースも報告されています。これは、ディーラー側も前例のない新しい機構への対応に苦慮している側面や、異音の感じ方に個人差が大きく、不具合かどうかの判断が難しいという背景があるのかもしれません。

納得できない場合は粘り強い交渉も必要

もしディーラーの初期対応に納得できない場合は、諦めずに粘り強く交渉することが重要です。別の日に再度来店して別の担当者に相談したり、それでも進展がない場合は、そのディーラーを統括する本社や、メーカーの「お客様相談室」に直接問い合わせるという方法もあります。その際、異音が発生する状況をスマートフォンで動画撮影しておくなど、客観的な証拠を提示することが、スムーズな交渉の助けになります。

修理実例と費用

ソフトウェアアップデートを試しても改善しない、あるいは明らかに異常な衝撃や音が発生しているとディーラーが判断した場合、トランスミッション本体(アッセンブリ)を丸ごと新品に交換するという、大掛かりな修理に至ったケースも実在します。これはかなり稀なケースですが、メーカーの新車保証期間内(一般保証は3年または6万km、エンジンやミッションなどの重要部品を対象とする特別保証は5年または10万km)であれば、費用は当然ながら無償で行われます。保証期間を過ぎてからの修理は非常に高額になる可能性があるため、少しでも違和感を覚えたら、保証が有効なうちに早めにディーラーに相談することが何よりも重要です。

ATF交換は異音対策に有効なのか

一般的に、オートマチックトランスミッションの異音や変速ショックに長年悩まされている場合の対策として「ATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)の交換」が挙げられることがあります。ATFはミッション内部の潤滑、冷却、洗浄、そして動力伝達など多くの重要な役割を担っており、長期間の使用で劣化すると、トランスミッションの性能低下を引き起こすためです。

しかし、ことCX-60の新開発トルコンレス8速ATに関して、異音対策を目的とした安易なATF交換は推奨されません。その理由は、一般的なATとは異なる、いくつかの専門的な背景があるからです。

  1. 専用フルードの厳格な指定:この新開発の特殊なトランスミッションは、その性能を100%発揮するために、メーカーが特別に開発した専用のATFを使用することが前提となっています。カー用品店などで市販されている汎用のATFに交換すると、フルードの粘度や特性が異なるため、逆に不具合を誘発したり、最悪の場合トランスミッションに深刻なダメージを与えたりする可能性があります。
  2. 保証適用の問題:メーカーが指定していない方法やフルードでATFを交換した場合、その後トランスミッションに何らかのトラブルが発生しても、メーカー保証の対象外と判断されるリスクが非常に高くなります。
  3. 根本原因との不一致:CX-60の異音やギクシャク感の多くは、フルードの劣化ではなく、油圧やクラッチの「制御プログラム」に起因するものです。そのため、仮にATFを新品に交換したとしても、根本的な原因がソフトウェアにある以上、症状が改善されないケースが多いと考えられます。

ATF交換は、いわば人間にとっての「血液交換」のようなもので、非常にデリケートな作業です。特にCX-60のような最新かつ特殊な機構の場合は、素人判断は絶対に禁物です。まずはメーカーの公式な対策(ソフトウェアアップデートなど)を試し、それでも改善しない場合に、ディーラーと相談の上で次のステップを検討するのが最も賢明な手順と言えるでしょう。

現時点では、CX-60のミッション異音対策としてATF交換が有効であるという確かな情報はなく、まずは正規ディーラーによる正確な診断と、メーカーが提供する公式な改善策を受けることが、最も確実で安全な方法です。

中古CX-60購入時の異音チェックポイント

中古CX-60購入時の異音チェックポイント

これから中古でCX-60の購入を検討している方にとって、最大の懸念事項はミッションの異音やギクシャク感でしょう。高価な買い物で後悔しないために、試乗の際に必ずチェックすべき実践的な項目をまとめました。販売店の担当者に遠慮せず、納得いくまで確認することが重要です。

試乗時の5つの必須チェックポイント

  1. 冷間時と温間時の両方で試す:可能であれば、エンジンが完全に冷え切った状態からの試乗をお願いしましょう。異音やギクシャク感は、部品が馴染んでいない冷間時に出やすい場合があります。その後、15分ほど走行してミッションが暖まった状態でも同様の症状が出ないか、変化を確認します。
  2. ストップ&ゴーを意図的に繰り返す:市街地の信号待ちなどを想定し、完全停止からの発進を何度か意識的に繰り返します。その際に「ガッコン」といった不快な衝撃音や、発進の遅れがないか、アクセル操作に対する応答性を注意深く確認してください。
  3. 極低速でクリープ走行する:駐車場内を移動するようなイメージで、時速10km以下の速度で、アクセルをほとんど踏まずにゆっくり走行します。この時、車が前後にカクカクと揺れるようなギクシャクした動きがないかを確認します。
  4. 緩やかな登り坂で試す:ショッピングモールの駐車場など、緩やかな登り坂での発進や、渋滞を想定したノロノロ運転を試します。半クラッチ制御が最も苦手とするシチュエーションで、スムーズに走行できるか、異音が発生しないかを見極めましょう。
  5. 後席の乗り心地も必ず確認する:運転席では気にならなくても、後席ではサスペンションからの突き上げ感や、変速時の揺れを強く感じることがあります。可能であれば、家族や友人に同乗してもらい、後席の乗り心地も客観的にチェックしてもらうことをお勧めします。
  6. ol>

狙い目のモデルと最終確認事項

前述の通り、最も安心して選べるのは、乗り心地に関するハードウェアの対策が施され、熟成が進んだ2023年9月以降に生産された「商品改良後モデル」です。これ以前の初期ロットを検討する場合は、価格の安さだけでなく、以下の点を必ず販売店に確認しましょう。

  • リコールやサービスキャンペーンの全対応履歴:整備記録簿(メンテナンスノート)を必ず見せてもらい、ミッション関連のソフトウェアアップデートが全て実施済みかを確認します。記録が曖昧な場合は、車台番号からディーラーで照会してもらうよう依頼しましょう。
  • 新車保証の継承手続き:メーカーの新車保証期間が残っている車両であれば、購入後にディーラーで所定の手続きを行うことで、保証を引き継ぐことができます。この「保証継承」が可能かどうかも、購入の重要な判断材料です。

これらのポイントを一つ一つ丁寧に確認することで、中古車選びで「こんなはずではなかった」と後悔するリスクを大幅に減らすことができます。

CX-60ミッション異音を放置するリスクと対処法を総括

CX-60のミッションから発生する異音は、その多くが構造的な特性や制御プログラムの熟成不足に起因するものですが、万が一の深刻な不具合の可能性を考えると、「仕様だから」と自己判断で放置することには明確なリスクが伴います。異音を放置した場合に考えられる具体的なリスクは、①症状の悪化、②安全性の低下、そして③車両の資産価値低下の3つです。

初期段階では小さな作動音や僅かなショックでも、それが内部部品の異常な摩耗や潤滑不良のサインである可能性も否定できません。放置することで摩耗が進行し、最終的には走行不能などの重大なトラブルにつながる可能性もゼロではないのです。また、予期せぬ変速ショックは、特に滑りやすい路面などでは車両の挙動を不安定にし、安全運転に支障をきたす恐れもあります。

もしご自身のCX-60で気になる異音が発生した場合、最も重要かつ唯一の正しい対処法は「できるだけ早く正規ディーラーに相談し、プロの診断を受けること」です。その際、この記事で解説した内容を参考に、「いつ(冷間時か暖機後か)」「どこで(平坦路か坂道か)」「どのように(発進時か減速時か)」「どんな音(ザー、ガコンなど)」がするのかを具体的に、かつ冷静に伝えることで、サービス担当者はより的確な診断を下すことができます。

CX-60は多くの魅力を持つ一方で、非常に繊細で複雑なメカニズムを搭載したクルマです。その特性を正しく理解し、専門家であるディーラーと良好な関係を築きながら、適切なメンテナンスを行っていくことが、安全で快適なカーライフを長く維持するための最善策と言えるでしょう。

  • CX-60のミッション異音には「ザー」「ガサゴソ」「ガッコン」など複数の種類がある
  • 主な原因はトルコンを廃した新開発8速ATの構造的な特性と制御の問題
  • ダイレクトな走行感と引き換えに低速域でのギクシャク感が出やすい
  • 異音や不具合は特に2023年8月以前の初期ロットに集中する傾向
  • SNSでは不満の声とアップデートによる改善を評価する声の両方が見られる
  • メーカーは複数回のリコールやサービスキャンペーンで対策を実施
  • 主な対策はソフトウェアアップデートで変速制御を最適化すること
  • アップデートにより乗り心地は大幅に改善されるとの評価が多い
  • ディーラーの対応には差があり「仕様」と説明されるケースもある
  • 重篤な場合は保証期間内であればミッション本体の無償交換事例も存在する
  • 安易なATF交換はリスクが伴うため推奨されない
  • 中古車選びでは2023年9月以降の商品改良モデルが最も安心
  • 試乗時には低速走行や坂道発進など具体的なチェックが不可欠
  • 異音の放置は症状悪化や資産価値低下のリスクがある
  • 気になる症状があれば速やかに正規ディーラーへ相談することが最善の対処法

-国産車